2008-08-01から1ヶ月間の記事一覧

小岸 昭【著】「離散するユダヤ人 −イスラエルへの旅から−」

岩波新書赤489、1997年。ISBN:9784004304890 ・読了。 政治臭を抑え、離散したユダヤ人の足跡をたどる紀行エッセイ。もし、「近代」をなんらかの視点から 認識しようとするなら、恐らくユダヤ人問題(これを帯にあるように”近代500年の裏面”と理解するか ど…

渡辺京二【著】「日本近代の逆説 渡辺京二評論集成〔1〕」

葦書房、1999年。ISBN:9784751207437 ・読了。なお、題名に表記した〔1〕は、正しくはローマ数字の1。 ・本書に収められた明治十年戦争に関する論考は刺激的。 論文「戦後天皇制は可能か」にもハッとさせられた。

若桑みどり【著】「イメージを読む 【美術史入門】」

ちくま学芸文庫、2005年。ISBN:9784480089076 ・読了。 ・ミケランジェロ、ダ・ヴィンチ、デューラー、ジョルジョーネを取り上げているから、 対象はルネサンス期である。描かれた時代のルネサンス史としても面白かった。

カルロ・ギンズブルグ【著】/竹山博英【訳】「ベナンダンティ 16世紀−17世紀における悪魔崇拝と農耕儀礼」

せりか書房、1986年。ISBN:9784796701440 ・読了。 ・ギンズブルグの処女作。彼の「闇の歴史」もそうだったが、専門家ならともかく、小乱読子に とっては、読んでいて冗長さを感じさせる本。決してつまらない内容ではありません、念の為。

三谷 博(みたに・ひろし)【著】「明治維新を考える」

有志舎、2006年。ISBN:9784903426037 ・読了。 ・裏表紙のやや長いコピーが本書を要約している。すなわち、 《明治維新は、日本国内だけでなくアジア・太平洋地域の国際秩序を一変させた。しかし、 それがどんな変革であったのかは実は今でもよくわかってい…

坂部 恵(さかべ・めぐみ)【著】「和辻哲郎 異文化共生の形」

岩波現代文庫学術36、2001年。ISBN:9784006000363 ・読了。カント哲学者?による和辻論。 ・和辻が室町時代の構想力に着眼したのは、歌舞伎の研究動向に大きな貢献をもたらした、 ということは勉強になった。いずれそちらの分野も乱読範囲に組み込むかも・・・・…

小苅米 晛(こがりめ・けん)【著】「図像のフォークロア イコン・民俗・ドラマ」

駸々堂、1982年。 ・読了。山口昌男の追悼文「序 一つのポストスクリプト」を附す。 その序文によれば、「図像を通して、デュルケーム学派の表現で言えば『集団合表象』、 吉本隆明的表現で言えば『共同幻想』とも言うべきものを浮き上がらせるべく試みた」 …

五十嵐修【著】「地上の夢 キリスト教帝国 カール大帝の<ヨーロッパ>」

講談社選書メチア224、2001年。ISBN:9784062582247 ・読了。簡便なカール大帝の伝記。 「夢」を追い求めた大帝の軌跡というより、8世紀末〜9世紀初頭の西ヨーロッパにおける、 カールを取り巻く政争史といったカンジ。

福間良明【著】「「反戦」のメディア史 戦後日本における世論と輿論の拮抗」

世界思想社SEKAISHISO SEMINAR、2006年。ISBN:9784790711964 ・読了。 ・「論理や事実に依拠した公的な意見・政治意識」としての輿論public opinionと 「私的な感情にとどまる大衆的な叙情・情念」としての世論popular sentimentsとを区別し、 戦後に登場し…

ヴェアナ・スターク【著】/杉山忠平・杉田泰一【訳】「宗教社会学」

未來社、1979年。 ・読了。 ・宗教社会学というよりキリスト教社会学(若干、日本神道に触れているが)。 ある程度のキリスト教史への知識があり、かつヴェーバーの『プロ倫』を読んでいないと難しいかもしれない。 主にヴェーバーへの批判が目立つ著作。

今井清一【編著】「日本の百年6 震災にゆらぐ 1923〜1931」

ちくま学芸文庫、2008年。ISBN:9784480090768 ・読了。 ・「この時代の日本では、安定のムードと不安の底流とが微妙に交錯し合いながら、つぎの異常な時代を準備 している。社会的に見れば、一口に言って大衆の時代であり、安定の面が強く、政治、とりわけ社…

石塚正英【著】「儀礼と神観念の起源 ディオニューソス神楽からナチス神話まで」

論創社、2005年。ISBN:9784846003128 ・読了。 ・著者得意?のフェティシズム論。わたしたちが「文明人」の視点で宗教やら神話を見ることに 慣れきって、理解できないものを混沌や暗黒として追放している。しかし、それら根源的な力が 本格的な宗教や神観念…