デヴィッド・キャナダイン【著】/平田雅博・細川道行【訳】「虚飾の帝国 オリエンタリズムからオーナメンタリズムへ」

虚飾の帝国―オリエンタリズムからオーナメンタリズムへ

虚飾の帝国―オリエンタリズムからオーナメンタリズムへ

 ・読了。
  「本書は、イギリス人が、異質で多様なイギリス帝国をいかにしてまとめようとし、
  帝国秩序をいかに認識してきたかを、一八五〇年代から一九五〇年代にかけての時期を
  中心に考察した書」(訳者解説より)であり、特にオリエンタリズムという白人優位主義
  に基づく抑圧的な手段を用いたのではなく、地位によるヒエラルキーを可視化する様々な
  制度によって帝国内(自治領、インド、植民地、委任統治領)に拡張され維持されたことを
  重視している。
  それは、言い換えれば叙勲制度、戴冠式即位式などに具現化された、きらびやかで
  華やかな装飾主義という帝国主義である。
  でも、それが、なぜ、急速に民族主義や民主主義などによって解体していったかの説明が
  いまひとつ説得力に欠くように思えた。