菅野 覚明(かんの・かくみょう)【著】「神道の逆襲」

神道の逆襲 (講談社現代新書)

神道の逆襲 (講談社現代新書)

 ・読了。「逆襲」に期待すると肩透かしをくうかも。(あとがきの通り)
  神道教説の発生とその発展、つまり伊勢神道から吉田神道垂加神道への系譜、神道が国家学として
  ある一定の力と広がりを持ち始める近世以降の代表的な思想家を上げるとすれば、山崎闇斎賀茂真淵
  本居宣長平田篤胤に至る系譜は、その違いも分って面白く読めた。だが、明治維新前後の国家神道
  成り立ちにはほとんど触れられていない。そういう意味で個人的には「逆襲」の肩透かしがあった。
  敢えて言えば、先日読んだ村上重良『国家神道』の前半部分を分りやすく、しかも著者独特の解釈を盛り
  込んで、中世・近世知識人の底に潜む(民衆の習俗にもなじみやすい?形の)神観念、言い換えれば
  政治支配的な秩序のための日常道徳心のあり方の変遷を論述している。