村上 重良【著】「日本史の中の天皇 宗教学から見た天皇制」

日本史の中の天皇―宗教学から見た天皇制 (講談社学術文庫)

日本史の中の天皇―宗教学から見た天皇制 (講談社学術文庫)

 ・読了。
  淡々とした冷静な筆致ながら、現在の象徴天皇制への批判が諄々と伝わってくる好著。
  しかし、醒めた視点(例えば、象徴を『ようは儀礼的に日本国および日本国民の統合を示す特定の人間』
  と書いていることなど)は、なにも象徴天皇制に対してばかりではない。明治維新後の近代天皇制において、
  おびただしい数の祭祀が創造され、天皇中心の神道的な祝祭日の大系が新たに作られ、現在に至っている
  ことなどの説明もそうである。また、三種の神器詔勅の変遷など教えられるところが多かった。