秦 剛平(はた・ごうへい)【著】「ヨセフス イエス時代の歴史家」

ヨセフス (ちくま学芸文庫)

ヨセフス (ちくま学芸文庫)

 ・読了。

ヨセフスの著作はキリスト教的メンタリティーの形成に与った書物である。このメンタリティーの表にあるのは「キリスト教こそ唯一絶対の宗教である」という不動の信念であり、その裏にあるのは反ユダヤ主義である。この反ユダヤ主義の感情はすでにして新約聖書の中に認められるものだけに、キリスト教徒は古代から近代に至るまでこの感情を共有してきたのであり、啓蒙主義時代を経た現代でも、多くのキリスト教徒はそれから自由になっていない。(10ページ)