安丸 良夫【著】「神々の明治維新 −神仏分離と廃仏毀釈−」

神々の明治維新―神仏分離と廃仏毀釈 (岩波新書 黄版 103)

神々の明治維新―神仏分離と廃仏毀釈 (岩波新書 黄版 103)

 ・読了。
  明治維新における国民意識統合・一元化政策としての国家神道国教化政策と、
  それに抵抗した民衆、仏教(とりわけ真宗)側の抵抗の歴史。結論を引用。

神仏分離以下の諸政策は、国民的規模での意識統合の試みとしては、企図の壮大さに比して、内容的にはお粗末で独善的、結果は失敗だったといえよう。しかし、国体神学の信奉者たちとこれらの諸政策とは、国家的課題に合わせて人々の意識を編成替えするという課題を、否応ない強烈さで人々の眼前に提示してみせた。人々がこうした立場からの暴力的再編成を拒もうとするとき、そこに提示された国家的課題は、より内面化されて主体的にになわれるほかなかった。国家による国民意識の直接的な統合の企てとして始まった政策と運動は、人々の”自由”を媒介とした統合へとバトンタッチされて、神仏分離廃仏毀釈神道国教化政策の歴史は終わった。