シュテファン・コッペルカム【著】/池内 紀+浅井 健二郎+内村 博信+秋葉 篤志【訳】「幻想のオリエント」

幻想のオリエント

幻想のオリエント

 ・読了。著者はドイツのグラフィックデザイナー、写真家。
  題名につられて?購入したが、副題の「十八・十九世紀ヨーロッパの異国風建築」の方が本書に相応しい。
  裏扉に引用されたポール・ヴァレリーの一節がよい。
  「<オリエント>という言葉が心のなかで美しく花ひらくための不可欠の条件がある。
   決してオリエントと呼ばれる所に行ってはならない。
   絵や報告、土産ばなしあるいは噂などから、
   とりとめのない、曖昧な、不確かな知識を得ること。
   このときはじめて夢みるための材料が整った。
   時間と空間が自在に交叉し、エセもの、いつわり、
   きれぎれな部分とモーローとした全体像がまじり合うところ、
   まさしくそこに魂のオリエントがある。」