M.I.フィンリー【著】/下田 立行【訳】「オデュッセウスの世界」

オデュッセウスの世界 (岩波文庫)

オデュッセウスの世界 (岩波文庫)

 ・読了。
  『オデュッセウスの世界』はいろいろと問題もあり、また部分的にはもはや時代遅れとなった面もあると
  考えられるが、それは多くの追随者を得るとともに伝統的な立場からの激しい反論を呼びさまし、
  ギリシア暗黒時代の研究を大いに進展させる原動力となったという意味で真に古典的な著作であるばかりか、
  ホメロスが描いた世界そのもの、すなわち、労働、道徳、価値観等に関する著者の考察そのものはやはり
  新風を吹き込んだばかりでなく、真に優れたものと言え、今後に受け継がれるべき点も多い。(中略)
  絵巻物に過ぎなかった世界を歴史的なものと見る礎を築いた人々の一人がフィンリーなのである。(解説より)
  本書の関連書籍寸評に、B・スネルの『精神の発見』が紹介されていた。