ヨハン・ホイジンガ【著】/兼岩 正夫・里美 元一郎【訳】「中世の秋」

中世の秋 (1958年)

中世の秋 (1958年)

 ・創文社の名著翻訳叢書を古書店より入手。しかも、文庫の中古本上下2冊より安価であった。
 ・解説より抜粋。
  本書で著者が「何を言わんとしているか。その答えは甚だむずかしい。さながら万華鏡にうつる絵模様の如く、
  歴史的イメージが次々に眼の前に現われてくる。概念や体系では整理され得ぬ美的形式が読者の目を奪う。
  ゆらめくもの、限定されぬもの、多義なもの、それこそホイジンガに従えば、歴史の本質に根ざす現象だ。
  それらを簡単化することは、彼にとって改悪を意味した。『中世の秋』は何かを言おうとするのではなく、
  何かを見せようとするのだ。」(中略)「しかし、敢えて『中世の秋』を定義づけるとすれば、それは感性の歴史、
  夢と幻想の歴史と言えよう。」(中略)「夢や幻想、特に美しい生活への憧れ、などが文化形成に果たす役割を
  高く評価することこそ、ホイジンガの歴史叙述の原則といえる。」
  副題『十四、十五世紀フランス及びネーデルランドに於ける生活形式と精神形式の研究』とある如く、
  通史的な叙述は一切登場しないから、解説のなかの一文『ブルゴーニュ公国について』を先に読むべき。