田川 建三【著】「歴史的類比の思想 田川建三評論集」

 ・「問題は、そのイエスをメシアとしてかつぎあげた信仰が、どういうからくりにはまりこんだ時に、
  一挙に世界史的な「偉大さ」になったのか、ということである。答えはある意味で簡単である。
  ローマ帝国がつくりだした古代的な帝国主義の状況がそれを可能にしたのである。それ以外に答えはない。
  キリスト教は(その点イエスキリスト教の間には明瞭に区別せねばならないが)、その本性からし
  帝国主義の宗教である」(P4〜P5)と言い切ってしまうのが心地良い。その根っからの帝国主義的本性を
  抉り出した前半2編の論文は読み応えがあった。