池田 清彦【著】「生命の形式 同一性と時間」

生命の形式―同一性と時間 (哲学文庫―叢書=生命の哲学)

生命の形式―同一性と時間 (哲学文庫―叢書=生命の哲学)

 ・「生命をオートポイエティックなシステムであると考える我々の立場からすると、生命は必ずしも集団を
  作らなくてもよいし、必ずしも増殖をしなくともよい。自己の要素を自前で作りつつ、内部と外部をそのつど
  確定することによって自己同一性を維持し、しかも自己同一性自体が変貌する可能性を排除されて
  いない空間。(中略)これが自然言語で述べることができる最も根源的な生命の定義であろう。
  世界で最初の生命のもとは、いくつかの物質たちがある特別な配置(布置)をとった時に、それらの
  物質たちが相互作用をはじめたことから発したのであろう。この相互作用は徐々にあるいは一気に
  複雑になり、ある時オートポイエティックなシステムと呼ぶべきものが出現したと思われる。
  世界最初の生物の出現である。」(P151〜152)
  これほど、はっきりと生命の出現を書いた著書に出会ったことがない。