渡辺 京二【著】/小川 哲生【編】「民衆という幻像 渡辺京二コレクション 2 民衆論」

・珠玉の名編『小さきものの死』が冒頭に収められている。
・「小さきものは常にこのような残酷を甘受せねばならぬ運命にさらされている。バラ色の歴史法則が何ら彼らが陥らねばならぬ残酷な運命を救うものでない以上、彼らにもし救いがあるのなら、それはただ彼らの主体における自覚のうちになければならぬ。願わくは、われわれがいかなる理不尽な抹殺の運命に襲われても、それの徹底的な否認、それとの休みのない戦いによってその理不尽さを超えたいものだ。あの冬の夜の母娘のように死にたくはない。その思いは、今私が怠惰な自己を鞭打って何がしかの文章を書き連ねることの底にもつながっている。」(P.13)