開沼 博【著】『「フクシマ」論 原子力ムラはなぜ生まれたのか』

「フクシマ」論 原子力ムラはなぜ生まれたのか

「フクシマ」論 原子力ムラはなぜ生まれたのか

「本書は原子力原発それ自体の研究ではない。もちろん、それを対象とはしているが、そこに直接的な関心はなく、また、これまでの原子力研究の系譜が扱ってきた環境や地域、科学技術、社会運動の問題も主題とはしていない。本書で解き明かしてきたのは、今日みられる地方の自動的かつ自発的な服従の歴史的形成過程だった。」(P.353)
本書は3.11以前に書き上げられていたからかもしれないが、<原子力ムラ>の隠蔽・虚偽(要するに嘘つき)体質がなぜ生まれたのかへの言及がないのは残念。
せっかく歴史的アプローチで原子力ムラを解明できたのだから、その原子力ムラを解体する方途を論じるのは、こんどは社会学者ではなくて、政治家もしくは政治学者、あるいはジャーナリストなんだろうか。