クリス・ボルディック【著】/谷内田浩正・西本あづさ・山本秀行【訳】「フランケンシュタインの影の下に」

フランケンシュタインの影の下に (異貌の19世紀)

フランケンシュタインの影の下に (異貌の19世紀)

フランケンシュタイン神話は、フランスとイギリスでの社会上、産業上の二つの革命から始まる時代の不安を留めている。封建制教皇の権力への危険が及ばぬレトロな関心をもった当時のゴシック小説の大部分とは異なり、メアリー・シェリーの小説は理性の時代に設定されていて、とりわけ近代的な自由と責任が生じる神なき世界を描いている。そこから発展する神話は、人間が世界を再創造し、その自然の環境や受け継がれてきた社会的、政治的形態を暴力的に変革し、そして自らを作り直すという責任を負う時代の新しい問題に、くりかえし向き合うことになる。(P.21〜22)
本書は、高山宏が責任編集した”異貌の19世紀”シリーズの一冊。