柴谷 篤弘【著】「今西進化論批判試論」

 ・この著作の結論は、以下の一節に尽くされていると思われる。
  「今西が種社会の成員が、時期が来たら変わるべくして変わるというとき、今西が懐く像は、たとえばこんなもの
  ではないだろうか? そのとき種社会の成員は、相互に彼ら独特の了解の方法のもとに--どうしてやるのかは
  われわれには未知である--やはり現状ではおれたちは変わらねばなるまいということを、たがいに感じあい、
  結論しあう。(中略)そして種社会全体の了解のもとに、各個体が自主的に変わるのである--われわれには
  未知の、ある、主体的な、生物学的方法によって。」(P241)