馬杉 宗夫【著】「黒い聖母と悪魔の謎 キリスト教異形の図像学」

 ・ヨーロッパ中世のキリスト教世界に出現した数々の異形の造形作品群−目隠しされた女性像、黒い聖母、
  悪魔、葉人間、怪物ガルグイユ、一角獣など−、これらの意味・内容を読み解こうとする図像学の著作。
  例えば、《黒い聖母》像は、キリスト教以前のドリュイド教の伝統が強く残っている場所に存在しており、
  その伝統下では、黒は大地を象徴する色であり、大地は暗黒の地中から植物をはじめとするあらゆる生命を
  生み出す力を持っていると信じられていた。つまり、黒は母性を象徴する色である、といった分析を通して、
  摩訶不思議な造形芸術が出現したのは、キリスト教以前の異教の神々への信仰にあるとする。