中山 茂【著】「天の科学史」

天の科学史 (講談社学術文庫)

天の科学史 (講談社学術文庫)

「科学は宇宙の周辺部へと、どしどし視野を拡大していって、かえって心や自我との対応付づけの問題は忘れてしまっていますが、それに対してまず自我を確立し、それから人間のまわりの環境との調和をとり、最後に宇宙の果てにいたるという物の見方、それを本来の意味でコスモロジーというのです。」(P.261)
占星術や暦などに利用した支配の天文学から、巨大巨額の体制化天文学を経て、プロとアマが融合する庶民の生活感覚に根ざす「宇宙観」、宇宙に対する素朴な疑問を忘れない天文学へと論じる科学史。難しい数式がちょっとだけ出てくるが、それでも十分楽しめた。